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中国の輸出管理法の解説 ――Q&Aシリーズその四:デュアルユース品目輸出に関するよくある質問

2025-12-31/ 弁護士コラム/ 弁護士 劉 雪

経済のグローバル化が進む今日において、越境貿易と外商投資は世界経済の増長を推進し、資源の合理的な配分を促進する上での重要な原動力となっている。その一方で、国際的な安全環境の段階的な複雑化に伴い、国家の安全・経済的利益・外交政策・国際的義務の間における均衡を図るための肝要な手段として、輸出に対する管理は各国が新型の国際経済貿易規則を制定する上での核心的な議題のうちの一 つとして取り上げられている。2020121日の「中華人民共和国輸出管理法」(以下「輸出管理法」という。)の正式な実施以降、「中華人民共和国デュアルユース品目輸出管理条例」(以下「デュアルユース品目輸出管理条例」という。)等の重要な関連法規の公布と実施に伴い、中国においては「輸出管理法」を核心とする輸出管理の面における法体系が形成されており、中国の輸出管理は統一化と体系化の新たな段階に入っている。中国との貿易に従事される企業と対中投資に従事されている方々にとって、中国の輸出管理の面における法体系に対する深い理解は、戦略的な意思決定、リスクの管理およびコンプライアンス経営の実現を行われる上での「必修課目」となっている。

本シリーズにおいては質疑応答の形式をもって実務の観点から中国の輸出管理の面における法体系に対する解析を行う。輸出管理上のコンプライアンス体系の構築、リスクの防止などのテーマをめぐる後続の掘り下げた検討のための基礎を固めるとともに、本稿が中国における輸出管理上の基礎的な知識を容易にご理解いただく上での一助となれば幸いである。

Q1:デュアルユース品目の輸出許可証の申請方法について

A1:「輸出管理法」第14条の規定に基づき、「デュアルユース品目輸出管理リスト」に掲載されている品目または臨時規制措置が適用されるデュアルユース品目を中国から輸出する場合、輸出事業者は中国商務部に対し許可を申請する必要があります。現在、デュアルユース品目輸出許可の申請手続きのペーパーレス化が進んでおり、輸出事業者は「商務部業務システム統一プラットフォーム企業エンド」(https://ecomp.mofcom.gov.cn)を通じてオンライン申請を行うことになります。その上で、所定の書類を紙媒体にて各地方の省級商務主管部門へ提出する必要があります。省級商務主管部門は、基本要件を満たした申請書類を商務部へ転送します。商務部は関係省庁と連携し、法令に基づき審査を行い、法定期限内に審査結果を輸出事業者へ通知します。輸出事業者は、電子形式の承認通知書(電子承認書)を受領後、省級商務主管部門が運用する許可証システムを通じてデュアルユース品目輸出許可証を取得することとなります[1]。申請に必要な書類および記入要領等の詳細については、商務部産業安全・輸出入管理局が公表している「デュアルユース品目輸出許可申請記入ガイドライン」

URLhttps://aqygzj.mofcom.gov.cn/zsyd/art/2025/art_b4861fe2d8ff4f0c8e215325e9b64a1e.html)をご参照ください。

Q2:企業が輸出する貨物について、以前はデュアルユース品目輸出許可証の取得が不要であったとしても、今後も引き続き不要なのでしょうか。

A2:「輸出管理法」第12条は、「国家は規制品目の輸出に対して許可制度を実施する。輸出管理リストに掲載されている規制品目または臨時規制品目については、輸出事業者が国家輸出管理部門に対し許可申請を行うものとする」と規定しています。特に留意すべき点は、輸出管理リストが更新される可能性があり、対象となる品目が国家安全保障などの要因により新たに追加・修正されたり、臨時規制の対象となる可能性があることです。

したがって、企業は「過去に規制されていなかった」ことを理由に、現在の輸出行為が自動的に合法であると推定してはなりません。商務部や税関総署など中国当局が発出する最新の公告およびリストの更新状況を継続的に注視し、自社製品が現行の規制範囲に該当するかどうかを適宜評価し、法令に基づき許可申請などの義務を確実に履行する必要があります。

Q3:貨物がデュアルユース品目に該当するが、通関時に輸出許可証の提出ができず、輸出事業者が事後に許可証を提出した場合、「無許可輸出」に該当するのか。

A3:この行為は「無許可輸出」とみなされます。「輸出管理法」第19条および「デュアルユース品目輸出管理条例」第21条では、輸出貨物の荷主またはその代理人として通関を行う企業がデュアルユース品目を輸出する際には、商務部が交付した輸出許可証を提出し、審査を受けることが義務付けられています。また、「中華人民共和国税関法」第24条および「税関輸出入貨物申告管理規定」第8条、第14条などの関係規定に基づき、デュアルユース品目を輸出する際には、通関申告時に許可証を提出しなければなりません。したがって、特定のロットの規制品目を輸出するにあたり、輸出事業者が通関申告時に当該貨物の輸出許可証を取得していない場合や、別のロットの貨物の輸出許可証を提出した場合には、「輸出管理法」第34条および「デュアルユース品目輸出管理条例」第39条に規定する「無許可輸出」とみなされ、処罰の対象になるおそれがあります。

また、輸出事業者は、通関申告後に「補完」する形で許可証を取得することはできません。輸出事業者が通関前に輸出許可の申請を行い、通関後に当該貨物の輸出許可証を取得したとしても、「無許可輸出」であることに変わりありません[2]

Q4:輸出許可証を取得した後、エンドユーザーまたは輸出先の国・地域を変更することはできますか。

A4:「デュアルユース品目輸出管理条例」第18条の規定によれば、輸出許可証の有効期間内において、輸出事業者がデュアルユース品目の種類、輸出先国・地域、エンドユーザー、最終用途等の重要な要素を変更する必要がある場合、同条例の規定に従い、改めてデュアルユース品目輸出許可を申請し、既存の輸出許可証を返納するとともに、一時的に輸出を停止しなければなりません。したがって、企業は許可証を取得した後、実際の輸出行為を当該許可証に記載された内容と一致させる必要があり、他社/他国経由でデュアルユース品目を輸出することはできません。例えば、デュアルユース品目をいったん第三国に輸出し、その後当該第三国から最終目的国へ転送する行為や、エンドユーザーおよび最終用途を偽って申告し、特定の国または地域に対する規制を回避しようとする行為、架空の中間貿易業者または代理人を設定し、契約や虚偽の通関書類を提出するなどの手段により、デュアルユース品目の実際の流れおよび最終用途を隠蔽する行為などは、法的に認められません。

注目すべきは、2025915日に商務部が公表した「デュアルユース品目輸出許可証管理弁法(改訂草案意見募集稿)」第27条において、輸出事業者が実際に輸出した規制品目、輸出先国・地域、エンドユーザー、最終用途等の重要な要素がデュアルユース品目輸出許可証に記載された情報と一致しない場合を「無許可輸出」とみなす旨が明記されており、仮に今後この条項がそのまま施行されれば、当局が「迂回輸出」や「虚偽申告」などの隠蔽性の高い違反行為に対してより明確な法的根拠に基づき処罰できるようになる点です。

Q5:品目に対して軽微な加工を施し、税関商品番号(HSコード)を変更することで輸出許可証の申請を回避することは、可能でしょうか。

A5:商務部産業安全・輸出入管理局が公表した「デュアルユース品目に関するQAの三(参考HSコード等の問題)」によれば、「HSコードは、当該品目がデュアルユース品目に該当するかどうかを判断する根拠とはならない」とされています。一方で、「デュアルユース品目輸出管理リスト」(以下「リスト」という)の「一般説明」には、次のように記載されています。

「本リスト中の品目には、未使用の品目、使用済みの品目、および他の製品に組み込まれており、かつその主要成分として容易に取り外して他用途に転用可能な品目を含む。ただし、本リスト第二部分に別段の定めがある場合は、その定めに従う。」

したがって、製品が加工された後であっても、規制対象となる原材料が容易に取り外し可能であり、他用途に転用可能な場合には、加工後の完成品も依然として規制の対象であると理解しております。


[1] https://aqygzj.mofcom.gov.cn/zsyd/art/2025/art_b4861fe2d8ff4f0c8e215325e9b64a1e.html

[2]https://aqygzj.mofcom.gov.cn/zsyd/art/2025/art_b30af830218f4932a9b5ad428d7e664d.html


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