2026年8月11日、北京市総工会、市高級人民法院、市人的資源・社会保障局は共同で「使用者の一方的な労働契約解除の規範化に関する業務ガイドライン(試行)」(以下「ガイドライン」)を公布し、使用者が一方的に労働契約を解除する際は、5営業日前にその理由を書面で労働組合に通知しなければならないことを明確にした。
実のところ、使用者が一方的に労働契約を解除する際に事前に労働組合への通知義務は、新しい法的要件ではない。「中華人民共和国労働組合法」(2021年修正)第22条は、使用者が一方的に従業員の労働契約を解除する際は、あらかじめその理由を労働組合に通知しなければならないと規定している。また、「中華人民共和国労働契約法」(2012年修正)第43条も、使用者が一方的に労働契約を解除する際は、あらかじめその理由を労働組合に通知しなければならないことを明確にしている。
したがって、従来より「あらかじめ理由を労働組合に通知すること」は、使用者が一方的に労働契約を解除する際の法定の事前手続であった。しかし、裁判実務においては、この要件の適用基準にばらつきがあり、特にすべての企業が労働組合を設置しているわけではないことに加え、弊所が取り扱った案件では、上級労働組合の特定が困難であったり、上級労働組合が通知の受領を拒否したりするケースも生じていた。
法執行基準の混乱は使用者に少なからぬ困惑をもたらしていたが、今回北京市のガイドラインが策定されたことは、手続面において極めて大きな参考価値を有する。以下にその要点を整理する。
一、 労働組合への通知の義務付け:通知先と期限
ガイドライン第3条は、労働組合への通知の通知先および期限について、明確かつ実務的な規定を設けている。使用者が一方的に労働契約を解除する場合は、5営業日前にその理由を書面で自社の労働組合に通知しなければならない。社内で労働組合が未設置の場合は、上級労働組合に通知しなければならない。
従来の「労働組合があれば履行し、なければ省略する」という慣行とは異なり、ガイドラインは「通知すべき労働組合がない状況」を認めないことを明確にしている。ガイドラインによれば、上級労働組合は、原則として使用者の実際の経営所在地の郷鎮、街道、産業園区、開発区の総労働組合(中国語:総工会)となる。使用者が区の産業労働組合に所属する場合はその区の産業労働組合に、市の産業労働組合に所属する場合はその市の産業労働組合における上級労働組合に通知しなければならない。この他、該当する上級労働組合に関する事項を確認するために、使用者は所在地の労働組合に連絡するか、従業員サービスホットライン「12351」に電話することもできる。また、ガイドラインにより、各級の労働組合は、連絡先および住所を積極的に公表しなければならない。
企業の人事部および法務部にとって、これは「労働組合への通知」を一方的な労働契約解除の必須手続として位置づけなければならないことを意味する。従来のように省略していた方法には、違法解除のリスクが極めて高い。
二、 通知書の内容および送達方法
ガイドライン第4条は、労働組合への通知に用いる書面の記載内容について具体的に規定している。通知書には、労働者の基本情報、労働契約を解除する根拠となる基本事実、解除の根拠となる法令および社内規程の関連条文、ならびに使用者の担当者および連絡先等を明記しなければならない。
送達方法については、ガイドライン第5条において、労働組合への通知書の送達方法は直接送達または郵便送達等と規定されている。これは、使用者に対し、将来紛争が生じた際の立証困難を避けるため、送達証明を確実に保管することを求めている。
三、 労働組合のフィードバックと使用者の対応
ガイドライン第5条および第6条は、使用者と労働組合双方の手続についてクローズドループの設計を行っている。使用者の労働組合は通知を受領後、速やかに受領証明書を発行しなければならない。さらに重要なのは、使用者が通知を送達した後、労働組合には5営業日のフィードバック期間が設けられていることである。労働組合が是正意見を提出した場合、使用者は別途検討を行い、書面で回答しなければならない。
もちろん、労働組合の意見はあくまで提言に過ぎず、使用者は労働契約の解除にあたって労働組合の同意を得る必要はないと理解している。しかし、労働組合のフィードバックを無視してはならず、労働組合の意見の受領、検討、書面による回答という一連のプロセスを完全に履行する必要がある。一連の手続がクローズドループで完了するまで、労働関係の継続を維持することが望ましい。
四、コンプライアンスの着地に向けた提言
ガイドラインの規定を踏まえ、使用者は以下の点に留意すべきである。
1. 退職管理プロセスの更新。「5営業日前の書面による労働組合への通知」を、一方的な労働契約解除の法定の事前手続として制度・プロセスに組み込むこと。
2. 労働組合未設置の企業における上級労働組合の早期特定。所在地の郷鎮、街道、産業園区、開発区の総労働組合への連絡、または「12351」ホットラインへの問い合わせを通じて、自社の所属する上級労働組合を確認すること。
3. 通知書の適正化および証明書類の適時な保存。ガイドラインの別紙の雛形にしたがい、基本事実、法令および社内規程の根拠を明記し、書面で通知するとともに、送達証明を保管すること。
4. 労働組合のフィードバックを重視し、処理結果を書面で回答すること。労働組合からの意見・提案を受領した場合は、必ず検討を行い、書面で回答して、手続上の瑕疵を回避すること。
要するに、ガイドラインは「あらかじめ理由を労働組合に通知すること」を、使用者の一方的な労働契約解除における必須手続に位置づけたものである。使用者は、実体法上の適法性を確保すると同時に、手続のコンプライアンスを厳格に遵守して初めて、労働紛争において優位な立場を維持でき、紛争の根源的な予防・解決および労働関係の調和と安定の促進を真に実現できる。
なお、この法定手続の要件は天津市においても既に導入されている。北京および天津での相次ぐ実施状況から、「一方的解除における労働組合への通知の必要性」という法定要件が、徐々に強制的な手続きとして着地しつつあり、各地方の細則も継続的に整備されていく可能性がある。使用者および労働者において、他の地域における関連動向を注視し、内部のコンプライアンス・プロセスを適時更新することが推奨される。